山口 太一

食と健康学類

山口 太一 やまぐち たいち

教授

研究室番号
C3-408
取得学位 博士(教育学)
修士(教育学)
学士(教育学)
研究室・ユニット名 食・健康スポーツ科学
研究キーワード スポーツ栄養学 ストレッチング 運動

パフォーマンス向上のためのコンディショニング法を明らかにする

研究の概要・特徴

○運動前後の栄養摂取に関する研究
 糖質は持久性運動時の主なエネルギー源である.そのため,持久性運動前の栄養摂取方法として糖質摂取が推奨されている.ところが,持久性運動前に糖質を摂取して血糖値や血中のインスリンの濃度が上昇した状態で運動を開始すると運動中に低血糖(運動誘発性低血糖)を引き起こし,運動に悪影響を及ぼす場合がある.我々の研究室では,運動前の糖質の摂取タイミングや摂取量の違いが運動中の血糖値に及ぼす影響を検討し,運動中に低血糖を引き起こす糖質摂取タイミングや糖質摂取量を明らかにしている.具体的には,運動直前(4分前)に糖質30gを含む500mLの糖質溶液を摂取した場合には運動中に低血糖を引き起こさないものの,運動30分前に摂取した場合には運動中に低血糖を引き起こすことを明らかにした(藤江ら,印刷中,下左図).また,市販の500mLのペットボトル飲料に含まれるような31g,45gおよび60gの糖質を含む500mLの糖質溶液の摂取によって,運動中に低血糖を引き起こすことを明らかにした(吉本ら,印刷中,下中図).
 この他にも運動後の栄養摂取方法に関する研究も進めており,運動前後の栄養摂取が運動中あるいは運動後の血液性状に及ぼす影響について検討する研究手法を用いて,スポーツ栄養学的側面から考えるより良いコンディショニング方法を明らかにしている.

○運動前後のストレッチングに関する研究
 運動前のストレッチングの目的のひとつに運動のパフォーマンスを向上させることがある.我々の研究室では,瞬発的運動や持久性運動の前のストレッチングが各運動のパフォーマンスに及ぼす影響を検討し,各運動前に良いウォームアップ方法を提案してきた(下右図).
 また,運動後のリカバリーに有効なストレッチング方法を明らかにする研究も進めており,運動前後のストレッチングが運動のパフォーマンスや疲労等に及ぼす影響について検討する研究手法を利用し,より良いコンディショニング方法を明らかにしている.

運動30分前の糖質溶液摂取では運動中に低血糖を引き起こすが,4分前では起こさない 運動30分前の糖質溶液摂取では運動中に低血糖を引き起こすが,4分前では起こさない
31,45および60gの糖質を含む糖質溶液摂取によって運動中に低血糖を引き起こす 31,45および60gの糖質を含む糖質溶液摂取によって運動中に低血糖を引き起こす
ダイナミックストレッチングが瞬発的および持久性運動のパフォーマンスを向上させる ダイナミックストレッチングが瞬発的および持久性運動のパフォーマンスを向上させる
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 スポーツ選手は試合でより良い成績を収めることを望んでいる.そのために日々,効果的なトレーニングを遂行し,より良い状態で試合を迎えられるようコンディショニングに注力している.我々の研究室では主に栄養やストレッチングに着目し,スポーツパフォーマンスを向上させるためのコンディショニング方法を,血液性状やスポーツパフォーマンスの測定評価を用いて明らかにする研究を行っている.