
取得学位 | 博士(学術) |
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研究室・ユニット名 | 食品物理学 |
研究キーワード | 食品コロイド化学 X線・中性子散乱 顕微ラマン |
食品コロイドの構造と物性研究を基盤とした分子ガストロノミー
研究の概要・特徴
食品の美味しさは、水や油などが調和し、最適なサイズや構造形態で分散した結果、美味しさが決まります。
このような「食品コロイド化学」の観点から、食品内部の構造や食感を科学する分野が「分子ガストロノミー」です。
X線・中性子散乱法、顕微ラマン法を用いてnm~μmスケールの構造を観察し、熱測定やレオロジー・トライポロジー測定と併せて食品の美味しさやテクスチャーを決める要因の解明を目標としています。
これらの手法は食品を非破壊・非接触で調べることが可能であり、加温や攪拌などの調理製造過程での内部構造の変化を追跡できることが特徴です。この特徴を活かし、
・生チョコレートの食感改質の研究
・チョコレート内の油脂結晶分布に対する調温効果
・ココアの食感と安定性
・イタリアンメレンゲの加熱による泡安定性と食感
・植物性ホイップクリームの食感と界面構造
を主なテーマとして、物理化学的視点から食品製造に関する課題を解き明かすことを目指しています。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
X線や中性子散乱、顕微ラマンは食品内部の構造を“生の状態”で観測可能で、極めて有効な手法です。多成分で構成される食品内部の構造を染色などをせずに観察できることが大きなメリットになります。
一方、熱測定やレオロジー・トライポロジー測定による食品物性を調べる手法も併用します。水分を多く含む食品の水の凝固/融解熱測定により自由水・拘束水の割合を決定できます。レオロジー・トライポロジー測定では、食品粘度や弾性率、摩擦係数などの物性値を求め、食品の食感を定量化することができます。