井坂 光宏

獣医学類

井坂 光宏 いさか みつひろ

教授 獣医学類長

研究室番号
動物医療センター 305
取得学位 医学(博士)
研究室・ユニット名 伴侶動物外科学
研究キーワード 多臓器円環 老齢医学 心臓外科

循環器を中心とした多臓器円環

研究の概要・特徴

 身体は小宇宙と言われるように複雑な事象が絡んでいる。そのため、単一臓器だけではその病態を把握、強いては治療を実施する事が困難である事が多々存在する。多臓器円環(ホメオダイナミクス)とは、各臓器、組織が免疫、代謝、自律神経などの高次ネットワークを介して、時間的・空間的に変動連携する事で生命体を維持する恒常性維持機構である。近年、心臓病は単純に心臓単独の問題だけではなく、心腎連関、心腸連関、心骨連関など様々な多臓器円環からの病態が報告されているが、獣医医療では未だその知見は乏しい。
 私は、循環器との多臓器円環を中心に研究しているが、今年度、兎拡張型心筋症モデルを作製し、左室再建術の有効性(Research in Veterinary Science:図1)や、心臓病と骨粗鬆や血管炎のマーカーであるオステオプロテゲリン(OPG)が心臓病と関連する可能性を示唆した報告を行った(Research in Veterinary Science:図2)また、犬の粘液腫様変性性心疾患においても、重症化に伴い、血清I-FABP濃度が上昇する事、心収縮率の低下が腸内細菌叢の変化を引き起こす事を証明した(Frontiers in Veterinary Science:図3)。
 現在は、SDGsに即した内容も含め、多臓器円環、老齢医学、心臓外科の研究を行っている。

図1 兎の拡張型心筋症モデルに対する   左室形成術 図1 兎の拡張型心筋症モデルに対する   左室形成術
図2 兎の拡張型心筋症モデルにおけるオステオプロテゲリンとI-FABP 図2 兎の拡張型心筋症モデルにおけるオステオプロテゲリンとI-FABP
図3 犬の僧帽弁疾患における腸機能の変化 図3 犬の僧帽弁疾患における腸機能の変化
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

多臓器円環の考え方は、既存のもの(例えば、サプリメントなど)が他の臓器の疾患に有効か否かも検討可能です。
検討する方法として、VIVO実験や臨床実験、また、VITROでも研究することができます。
現在は、詳細は書けませんが、SDGsに即した内容も進行中です。
ご検討頂ければと思います。