田島 誉士

獣医学類

田島 誉士 たじま もとし

教授

研究室番号
動物医療センター 206

教員・研究室

取得学位 獣医学博士
獣医学修士
研究室・ユニット名 生産動物内科学
研究テーマ 生産動物医療の個体診療と群管理における生産性阻害要因因子に関する研究
学びのキーワード 生産動物医療生産性向上牛の健康管理食の安全・安心感染症往診(動物病院)
教育・研究への取り組み 病気の原因を追究して診断治療法を確立するのが臨床の主な仕事です。我々が実践する生産獣医療では、病気そのものの発生を抑えて生産性を高めることも重要な使命です。なかでも私は、生産性を阻害する感染性因子に特に興味を持ち、流行状況と予防対策について様々な観点から究明しています。
受験生へのメッセージ 獣医師の資格を得るためには、6年間の大学生活で様々な知識と技術を身につけなければなりません。対象とする動物も多岐にわたり、取り扱う学問領域も広範にわたるのが獣医学です。その中でも、おいしい牛乳や牛肉を安心して口にできるという目標のための学舎として、本学は最適だと思います。

研究シーズ

研究キーワード BVD 感染症対策 牛群防疫
牛ウイルス性下痢症の牛群に与える影響と防疫対策
研究の概要・特徴

 牛ウイルス性下痢症(BVD)は、BVDウイルス(BVDV; Pestivirus A, B, H)感染による牛の疾患であり、子宮内感染によって産出される持続感染(PI)牛が感染源となって牛群に様々な影響を及ぼす。病名に含まれる下痢症という症状によって本感染症が臨床現場で摘発されることは稀であり、BVDV感染によって牛に誘起される免疫抑制がもたらす呼吸器症候群(BRDS)による症状が、臨床上著明となることが多い。特に子牛や育成牛が影響を受けやすく、経済的損失をともなう大きな障害を牛群に引き起こす感染症である。
 感染源となるPI牛は、何の症状を呈することなく牛群内に潜伏し、同居牛に急性感染を広げる。症状による本感染症の摘発は困難であり、PI牛対策の遅れとなり大きな被害をもたらしてしまう。呼吸器病対策としてのワクチンに本ウイルスも含まれているが、子宮内感染を完全に防ぐほどの効果は無く、したがって、日常のサーベイランスでPI牛の摘発淘汰を進めることが最良の対策であると考えられている。
 これまで永年にわたり、北海道内の乳肉牛、道外から預託される育成牛、道内市場で売買される牛などの感染状況を検査しPI牛を摘発してきた。様々な状況証拠に科学的根拠を加味して感染経路を特定し、BVDV感染症のみならず多くの感染症の防疫対策を検討してきている。畜産経営形態の多角化によって伝播様式の変遷も見られてきており、我が国のみならず国際的な畜産物流通の監視要点を整える体制作りを目標としている。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 近年、国境を越えた畜産物の流通が活発になっていますが、生体の輸出入は依然として厳しく制限されています。したがって、海外悪性伝染病の国内への侵入は、比較的効果的に制御されてきています。しかしながら、牛群の巨大化、飼養形態の変化などによって国内における牛の移動は県境を越えて活発になっています。感染症は、その宿主の移動によって拡散することが多く、経済的損失が大きくなる疾病は、その対策が特に重要です。中でもBVDは重要な疾患と考えられており、当方が有するこれまでの成果は、正確な流行状況、疫学的情報、効率的な予防対策法、など現場に即した対応を提供することが可能です。