小林 昭博

循環農学類

小林 昭博 こばやし あきひろ

教授

研究室番号
中央館 915
取得学位 博士(神学)
研究室・ユニット名 キリスト教応用倫理学
研究キーワード ジェンダー セクシュアリティ クィア

クィア理論とホモソーシャリティ理論によるヨハネ福音書の読解

研究の概要・特徴

 本研究は「性差別」(sexism)と「LGBT(LGBTIQAP+)」の人権の課題を念頭に置き、特に近年のジェンダー・セクシュアリティ研究の潮流のひとつである「クィア理論」(queer theory)と「ホモソーシャリティ理論」(homosocial theory)を用いてヨハネ福音書を読解することを試みるものである。本研究ではヨハネ福音書においてイエスと弟子の関係がギリシャ哲学者の師弟愛を表象/再現前する「ホモエロティシズム」(homoeroticism)と「ホモソーシャリティ」(homosociality)が共存する「ホモソーシャルな連続体」(homosocial cotinuum)を構成するものとして描かれていることを明らかにし、この福音書が強固な「家父長制」(patriarchy)と「女性嫌悪」(misogyny)を抱えていることを炙り出す。
 本研究の主たる議論は新約聖書を中心とする古代のギリシャ語、ヘブライ語、ラテン語の文献の読解と解釈に費やされる。その意味では、本研究は現代の「LGBT(LGBTIQAP+)」の人権の課題とは直接には結び合わないと考えられるかもしれない。しかしながら、聖書がジェンダーとセクシュアリティに基づく差別を生み出し、温存する負の装置として読まれ続けている現実を考えると、「男同士の絆」(male homosociality)を表象するヨハネ福音書の「家父長制」と「女性嫌悪」を批判していく作業は、現代社会の「性差別」と「LGBT(LGBTIQAP+)差別」に対する抵抗ともなり得ると言えるのである。

 ※この研究は「クィア理論とホモソーシャリティ理論によるヨハネ福音書の読解」[JSPS科研費(課題番号17K02622)]の助成を受けたものである。



LGBT概念の拡大と多様化 LGBT概念の拡大と多様化
同性愛者差別問題を聖書学から批判する著書 同性愛者差別問題を聖書学から批判する著書
同性愛者差別問題を問う学会の公開講演会 同性愛者差別問題を問う学会の公開講演会
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 この研究は狭義には本研究の中心をなす聖書解釈を通じて、キリスト教の教会や学校が「性差別」と「LGBT(LGBTIQAP+)」の人権の課題に真剣に向き合い、聖書やキリスト教を改めて見直すことにつながることを意図しているが、広義には本研究が提言する「性差別」と「LGBT(LGBTIQAP+)」の人権の課題に対する取り組みを通じて、行政や企業を含めたあらゆる業界がジェンダーやセクシュアリティの問題を真剣に考え、「性差別」と「LGBT(LGBTIQAP+)」の人権の課題に真剣に取り組むことにつながっていくことをも意図している。なぜなら、ジェンダーとセクシュアリティの平等がSDGsの課題になっていることからも分かるように、これらの問題はあらゆる分野や業界が取り組んでいくことを求められている喫緊の課題だからである。