萩原 克郎

獣医学類

萩原 克郎 はぎわら かつろう

教授

研究室番号
動物医療センター3F教員室
取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 獣医ウイルス学
研究キーワード BoDV 脳内感染 繁殖障害

ボルナウイルスの持続感染がもたらす繁殖機能障害

研究の概要・特徴

脊椎動物に広く感染するRNAウイルスであるボルナ病ウイルス(BoDV)は、ほとんど全ての動物に感染することが知られています。私たちの研究により、家畜の約10%が不顕性感染(症状を示さない)で飼育されていることがわかりました。
さらに、このウイルスの持続感染が、ホルスタイン乳牛の不受胎と関係することが明らかとなり、その詳細な機序を解析するために、基盤研究C(19K06426)の助成を受け「ボルナウイルス持続感染動物における性ホルモン分泌動態の解明」に取り組んでいます。
これまでの研究成果:ラットの持続感染モデルにおいて、BoDVが脳内に持続感染するとメスの生殖器の発育不全や性成熟に達しても性周期が有意に延長し、繁殖障害になることが分かりました。
そこで、繁殖に重要な視床下部から分泌される神経ペプチドであるキスペプンの産生異常とそのレセプター発現を調べると、それら一連の分子の発現が低下することにより下垂体へのGnRH情報伝達が伝わらず、それが要因となりエストロジェン分泌に障害を及ぼす事が明らかになりました。
現在は、このウイルス持続感染に起因する繁殖障害の詳細な原因解明とその対処法の確立を検討しています。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

牛の繁殖障害に対する対策は、これまでに様々な分野からアプローチして解決策を講じてきました。現在は、医療技術や管理体制も改善され問題となる要因も排除されつつあります。しかし、対策を施しても繁殖障害は減ってないことも現実です。このような問題に直面した時は、ひょっとしたら、ボルナ病ウイルスの持続感染による影響かもしれません。
このシーズをご覧になり気になった方は、ご連絡いただければご相談を受けます。さらに、繁殖管理や神経ペプチド関連に関わる企業の方でご興味があれば、課題の解決のための共同研究をできたらと思います。