
取得学位 | 博士(農学) |
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研究室・ユニット名 | 作物栄養学 |
研究キーワード | 土壌 菌根 有機栽培 |
土壌の有機的な物質循環の理解とその作物栽培への応用
研究の概要・特徴
いま地球は平均気温が高くなっているだけでなく、干ばつや水害等が頻発する、変動型の環境になってきています。そういった不確実な環境下でも、私たちは安定して、低コストで、美味しいものを生産していかなければなりません。温室効果ガスの排出を抑え、少ない労力と労働時間で、多くの高品質な農産物を生産するにはどうすればいいのか、これまでの農業は、石油に依存するあまり、そのようなエコな栽培の技術開発をしてきていませんでした。いま、私たちは発想を転換する必要があります。
そのカギは土にあるというのが本研究のスタンスです。そしてその中の生き物が、土の機能を支えています。
本研究は、土壌微生物の中でも、ほとんどの植物が共生してつくる「菌根」に注目しています。これまで見過ごされてきた菌根の機能を明らかにし、次世代の農業に活かします。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
農業では土をはじめとした「基礎研究」が非常に重要である一方で、その「応用」との距離は依然として大きいままです。ここでの応用とは、慣行農業から変化していくべき「新しい農業のかたち」のことを想定しています。
基礎研究では、有機農業を支える菌根をはじめとした土壌微生物と作物の関係性について調べます。例えば堆肥のように、土づくりに良いことは確かなのだが、その原理が良くわからないといった、未解明のメカニズムにメスを入れ、次世代の農業に不可欠な要素を、可視化するイノベーションを起こします。
応用研究では、これからの農業のかたちについて模索する実践的な取り組みを行います。その中心は土づくりと、高品質の農産物を、環境負荷を抑えつつ、より多く得ることにあります。もとより、その生産物の流通、加工、販売、利用までを一体的に捉えた、循環の視点を重視します。次世代農業を論理的に捉え、実践を加速するための研究です。