
取得学位 | 博士(農学) |
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研究室・ユニット名 | 資源植物学 |
研究キーワード | 雑草拡散経路 遺伝的多様性 個体群保全 |
雑草防除や植物群落の保全を目的とした植物の生態遺伝学的研究
研究の概要・特徴
本研究室では雑草防除を効果的に行うため、雑草の拡散経路や増加のメカニズムを生態遺伝学的に解明しようとしています。また、著しい気象変動の中、減少している高山植物などを中心に地域個体群の遺伝的多様性を評価し、遺伝的多様性に配慮した個体群の保全を模索しています。このような研究を行うために、一年の1/3は圃場、湿原や山野に植物を求めて旅をしています。1/3は実験室で核や葉緑体のDNA解析や植物の発芽に関する研究をしています。残り1/3は植物の秘められた生活について想像をめぐらしています。
本研究室では①ネズミムギの耐凍性に関する研究、②雑草種子の発芽斉一性に関する研究、③ミゾソバの遺伝変異と地理的分化に関する研究、④緑化植物としてのキリンソウに関する研究、⑤サクラソウ属やキスゲ属などの個体群の保全に関する研究などを行っています。現在、最も力を入れているのは、個体群の遺伝的多様性推移におよぼす復元手法の影響に関する研究で、対象地域の個体群に一切の復元行為を行わない場合、対象地域で採種した種子で復元を行った場合、対象地域で採種し、対象地域外で増殖した種苗を用いた場合、遺伝的多様性を同じくする対象地域外で採取した種苗を用いた場合および遺伝的多様性を異にする対象外地域から採取した種苗を用いた場合など、異なる復元手法を加えた個体群の遺伝的多様性の推移を継続的に調査することによって、異なる復元手法がその後の個体群の盛衰や遺伝的多様性に与える影響を明らかにするものです。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
本研究室で行っている雑草に関する研究成果は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センターが推し進めているIPM(総合的病害虫・雑草防除)、特にIWM(総合的雑草管理)の一助になるものと考えています。また、遺伝的多様性に関する研究成果は生物多様性に配慮した環境保全や個体群の復元に適切な指針を与えることができると考えています。