吉野 宣彦

循環農学類

吉野 宣彦 よしの よしひこ

教授

研究室番号
A3-302
取得学位 博士(農学)
研究室・ユニット名 農村計画論
研究キーワード 酪農経営 収益性格差 放牧

酪農データベース構築と経営改善への利用

研究の概要・特徴

 最大700農場の経営データを統合したデータベースを15年以上継続して整備しています。農協職員などが自らデータベースを作成し、分析するマニュアル化を進めています。任意の農場を抽出し、種々のグループに分けて比較可能なプログラムを作成してあります。これらの図表の一斉印刷が可能です。同じ地域条件の全農場の長期継続データによる動態分析を可能にしています。
 プログラムを利用した分析により以下のことなどが明らかになっています。
 第1に農場間に大きな収益性格差があること(図1)。
 第2に収益性の高い理由は、高い乳量ではなく、低いコストにあること(図2)。
 第3に収益性が低いほど多頭化を望む「悪循環の拡大」意識にあったこと(図3)。
 このような経営データに農業者からの聞き取り調査を加えて、収益性格差が生じた理由について意思決定の違いを明らかにしつつあります。多くの収益性の低い農場を高位平準化できるサポート体制が明確になるよう努めています。
 規模拡大が進んだ北海道では地域の人口減少が進んでいます。単に大規模化を進めることではなく、いかにコストを下げ、小さな規模でも酪農が成り立つかを考えることが重要になっています。地域にあった適正な規模を追求することが大切だと感じています。

経産牛頭数と農業所得(クミカンによる)の相関図 同じ頭数規模でも大きく分散 経産牛頭数と農業所得(クミカンによる)の相関図 同じ頭数規模でも大きく分散
農業所得率が高いほど、頭数当たりの支出が低下しています。 農業所得率が高いほど、頭数当たりの支出が低下しています。
多頭化したいと考えめどがあると思っている人は所得の低い方により多く分部している。 多頭化したいと考えめどがあると思っている人は所得の低い方により多く分部している。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

農協や役場にある資料をデータベースにすることにより経営改善に活用できます。長期のデータベースをを蓄積することにより様々な補助事業やプロジェクトの成果を検証可能にすることができます。