
取得学位 | 博士(農学) 農学修士 |
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研究室・ユニット名 | 家畜栄養学 |
研究キーワード | 乳牛 放牧 家畜生産システム |
栄養生理学を基本に環境保全型飼養管理による牛乳生産を実現する
研究の概要・特徴
遺伝的に優れた家畜の能力を十分発揮させるには適切な栄養管理が必須であり、その基本が栄養生理学です。家畜栄養学研究室では、それら理論を踏まえ、人間の食糧と競合する輸入穀類に頼らず、牧草・飼料作物および農業副産物等を有効に利用した効率的な牛乳生産を追究しています。酪農は他の農業分野同様、土地利用を基盤とした土-草-牛を巡る物質循環の中で行われるべきものです。したがって家畜生産性の向上のみならず、土地生産性、すなわち「土地からの牛乳生産」を高めるための圃場作付利用方式まで含めた酪農生産システムの確立を目指します。また、環境保全型酪農を実現するための究極のツールともいえる“放牧”のメカニズムの科学的解明にも取り組んでいます。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
土地を基盤とした酪農生産システムを評価する視点の重要性は、長い間見落とされてきました。濃厚飼料が安かった時代、土地からの牛乳生産の重要性を指摘しても、ほとんど関心は寄せられませんでした。それは単位土地面積当たりの牛乳生産量を高めても、農家の収入に直接結びつかなかったからでです。しかし、昨今の輸入穀類価格の高騰は、「濃厚飼料が高い」どころか、近い将来「濃厚飼料が手に入らない」状況へと進む可能性を内包しています。その場合、単位土地面積当たりの牛乳生産量は農家収入に直接的な影響を及ぼします。苦しい時代ですが、今こそ輸入飼料依存型の生産方式から脱却し、土地利用型酪農へ回帰するチャンスと捉えるべきでしょう。研究としては、草で牛を飼う技術、すなわち粗飼料多給による効率的な牛乳生産技術の改善を図るとともに、「牛乳は草からできる」ことをしっかりと認識してもらえるよう、消費者向けの普及活動も積極的に行います。