
取得学位 | 学士(獣医学) |
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研究室・ユニット名 | 生産動物病態学 |
研究キーワード | ウシの感染症予防 粘膜免疫 粘膜型ワクチン |
ウシ結膜関連リンパ組織の形態機能学的探索
研究の概要・特徴
感染症の予防方法として粘膜に直接抗原を接種する粘膜型ワクチンが注目されています。粘膜型ワクチンは、IgA産生を主体とした粘膜局所での免疫応答誘導により病原微生物の粘膜への侵入そのものを防ぐことができます。この粘膜局所でのIgA産生誘導を担うのが生体各粘膜に存在する粘膜関連リンパ組織です。私たちは、ウシの新たな粘膜型ワクチン接種部位として眼に着目し、ウシ結膜での粘膜関連リンパ組織(結膜関連リンパ組織:CALT)の組織学的構造と機能を研究しています。これまでの研究で、ウシが発達したCALTを持つこと、ウシCALTは各免疫細胞が規則正しく配置された構造を持つこと(図1,2)などを明らかにしてきました。これらの組織学的特徴からウシCALTが粘膜免疫誘導部位となる可能性が示唆されています。今後は、実際に点眼での抗原曝露により各粘膜でのIgA産生を引き起こすことができるかを実証することが課題となっています。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
一つの粘膜への抗原曝露は別の粘膜での免疫応答も誘導できることが知られています。今後、結膜への抗原曝露により各粘膜でのIgA産生を誘導できることを実証すれば、結膜への接種で他の部位(例えば呼吸器や腸管など)の感染症を防ぐワクチンの開発に繋がる可能性があると考えています。結膜は他の粘膜と比べて外部からアプローチがしやすい部位であり、噴霧などによる新たなワクチン接種方法につながることが期待されます。噴霧でのワクチン接種が可能になれば、針も保定も不要なウシにもヒトにも優しいワクチン接種が可能になります。