
取得学位 | 博士(文学) 修士(文学) 修士(法学) Master of Arts in Theology |
---|---|
研究室・ユニット名 | 動物と人の関係学 |
研究キーワード | キリスト教 獣医倫理 動物倫理 |
一神教の成立過程の解明・動物倫理理論の再構築
研究の概要・特徴
私の研究分野は大きく分けて二つあります。ひとつはキリスト教学の中のヘブライ語聖書研究です。その中でもとくに、エサルハドン王位継承誓約文書というアッカド語文書とヘブライ語聖書の中の申命記を比較することで、一神教の成立過程についての新しい仮説を提案しています。また、エステル記という書物の注解書を執筆中です。
もうひとつは、倫理学ですが、中でも生命倫理学、その中でもとくに獣医倫理学・動物倫理学を研究しています。ヘブライ語聖書学は最も古い学問のひとつだと思いますが、獣医倫理学・動物倫理学は最も新しい学問のひとつといえるでしょう。この新しい領域は、まだまとまりがありません。いろいろな研究者が自分の立場から意見を述べていますが、動物保護運動との関わりが強く、急進的になりがちでもあります。私は、社会運動の価値を認めつつも、一般に受容可能な動物倫理を追求しています。それは、神学用語では「文脈化」ということと関連します。動物倫理学が生まれた英米の理論を直接日本に導入しようとしても、簡単にはいきません。それは、倫理の基盤が各文化圏によって異なるからです。そうだとすれば、日本には日本文化に適合的な動物倫理が必要です。もちろん日本も現代世界にある以上、それは普遍的な思想と乖離するものとはならないでしょう。でも国際的に受け入れられている概念を自分のものとして受け入れる際に、文化によって受け入れ方が異なるのは自然なことです。獣医倫理学ではバーナード・E・ローリンの理論を手掛かりとして、この作業を行っています。