前田 尚之

食と健康学類

前田 尚之 まえだ なおゆき

准教授

研究室番号
C8-201
取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 肉製品製造学
研究キーワード 北海道針葉樹 燻煙 微量分析

北海道針葉樹間伐材による森の香りの燻煙食肉製品の製造

研究の概要・特徴

間伐材を用いて森の香りを伴った燻煙食肉製品の作製を目的としています。これまでの間伐材の有効活用としては道路事業、河川事業や農業農村整備事業、住宅分野での地域材の住宅への利用及び木質バイオマスエネルギーへの利用等があります。そこで食品への応用を検討し、食肉製品の製造工程にある燻煙の薫材として利用することができるのかを検討しています。北海道における間伐された木は主に針葉樹(カラマツ、トドマツ、エゾマツ等)が多いのですが、針葉樹を用いた燻煙の食肉製品は世界的に見ても少ないです。北海道の木に指定されているアカエゾマツの枝葉から抽出した精油には抗菌作用があることから精油の抗菌効果が食肉製品の製造工程にある塩漬け(塩せき)において、精油を塩せき剤と共に肉に塗布することで保存時の食中毒菌の繁殖抑制(E.coli、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌)や脂肪の酸化抑制効果(過酸化物価及びチオバツビツール価)があると考え現在も研究を進めています。アカエゾマツ精油の香りはストレス緩和に効果があることから、このリラックス効果のある香りが従来品のベーコンとは異なる風味になることを期待して、アカエゾマツチップで燻煙したベーコンを試作試食したところ、森の香りがする独特のフレーバーが得られて好評でした。(前田ら、日本畜産産学会第125回大会2019)
 これまでの結果から、アカエゾマツチップを用いた燻製ベーコンは独特の香り及び風味の点から十分に実現可能性が有ることがわかっています。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 世界で使用されている燻煙材の種類としては一般的に広葉樹を用いており、針葉樹による燻煙食品の開発や報告はあまりありません。アカエゾマツ精油の主成分はGC/MS測定の結果、ボルニルアセテートであり、その他にはαピネン、カンフェン、リモネンなどであることがわかりました。その割合は異なるものの、これらはその他のマツや針葉樹にも含まれている成分です。ボルニルアセテートはマツ科(マツやモミ)樹木の精油に多く含まれ、爽やかな香りの主成分とされ、自律神経の緊張緩和効果が認められていますが、食品に関する報告はほとんどありません。アカエゾマツチップを用いた燻煙したベーコンはサクラチップのそれとは異なる風味を持っており、嗜好性も異なっていました。したがって、アカエゾマツチップは新たな風味を持つ食肉製品の開発のための素材の1つとして利用可能だと考えられます。