教員・研究室
| 取得学位 | 博士(獣医学) |
|---|---|
| 研究室・ユニット名 | 食肉科学 |
| 研究テーマ | エネルギー不足によって生じる筋委縮におけるステロイドホルモンの役割に関する研究 |
| 学びのキーワード | ステロイドホルモン骨格筋筋委縮ストレス食肉科学 |
| 教育・研究への取り組み | 成雄ラットが絶食によってエネルギー不足になることで、骨格筋内のステロイドホルモンで男性ホルモンと称されるテストステロンが激減し、副腎で主に合成されストレスホルモンと称されるコルチコステロンの増加によって筋委縮に働いていることを発見しました。 現在、朝食欠食したときの筋委縮分子機構メカニズムを明らかにして雌雄差があるのか、そして、その影響についてステロイドホルモンの動態を中心に明らかにする研究を進めています。 |
| 受験生へのメッセージ | これまでは教科書に書いてあることを一所懸命覚えてきたと思います。大学では覚えるだけでなく、なぜそうなるのか?と疑問に思うこと、仮説を立てること。それを証明させること。が大事となり、このことは一生続きます。その第一歩を一緒に考えて成長していきましょう。 |
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研究シーズ
| 研究キーワード | 北海道針葉樹 精油 食肉製品 |
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アカエゾマツによる食肉製品の開発と食品衛生への応用
研究の概要・特徴
間伐材を用いて森の香りを伴った燻煙食肉製品の作製を目的としています。これまでの間伐材の有効活用としては道路事業、河川事業や農業農村整備事業、住宅分野での地域材の住宅への利用及び木質バイオマスエネルギーへの利用等があります。そこで食品への応用を検討し、食肉製品の製造工程にある燻煙の薫材として利用することができるのかを検討しています。北海道における間伐された木は主に針葉樹(カラマツ、トドマツ、エゾマツ等)が多いのですが、針葉樹を用いた燻煙の食肉製品は世界的に見ても少ないです。特にアカエゾマツ精油の香りはストレス緩和に効果があることから、このリラックス効果のある香りが従来品のベーコンとは異なる風味になることを期待して、アカエゾマツチップで燻煙したベーコンを試作試食したところ、森の香りがする独特のフレーバーが得られて好評でした(前田ら、日本畜産学会第125回大会 2019、食肉の科学 Vol.63 No.1, 2022)。これまでの結果から、アカエゾマツチップを用いた燻製ベーコンは独特の香り及び風味の点から十分に実現可能性が有ることがわかっています。さらに,安全性を確認するため発がん物質である多環芳香族炭化水素(PAH)の残留調査を実施したところ,燻煙工程での検出は認められませんでした(第120回日本食品衛生学会学術講演会2024、食肉の科学Vol65 No.2,2024)。また、アカエゾマツ精油の抗菌効果からさらに抗ウイルス効果があるのではないかと考え調査した結果、抗E型肝炎ウイルス抗原に効果があることが判明しました(第118回日本食品衛生学会学術講演会2022、Chemistry & biodiversity 20, 2023)。現在さらに研究を進めています。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
世界で使用されている燻煙材の種類としては一般的に広葉樹を用いており、針葉樹による燻煙食品の開発や報告はあまりありません。アカエゾマツ精油の主成分はGC/MS測定の結果、ボルニルアセテートであり、その他にはαピネン、カンフェン、リモネンなどであることがわかりました。その割合は異なるものの、これらはその他のマツや針葉樹にも含まれている成分です。ボルニルアセテートはマツ科(マツやモミ)樹木の精油に多く含まれ、爽やかな香りの主成分とされ、自律神経の緊張緩和効果が認められていますが、食品に関する報告はほとんどありません。アカエゾマツチップを用いた燻煙したベーコンはサクラチップのそれとは異なる風味を持っており、嗜好性も異なっていました。したがって、アカエゾマツチップは新たな風味を持つ食肉製品の開発のための素材の1つとして利用可能だと考えられます。