舩津 保浩

食と健康学類

舩津 保浩 ふなつ やすひろ

教授

研究室番号
C8-301

教員・研究室

取得学位 博士(水産学)
研究室・ユニット名① 発酵科学
研究テーマ① 食肉製品および魚肉練製品の製造原理と品質改良に関する研究
学びのキーワード① 食肉製品魚肉練製品ソーセージハムベーコン肉醤(ししびしお)
研究室・ユニット名② 食品学
研究テーマ② 食品ロスのリサイクル技術と道産食材を活用した低GI食品の開発
学びのキーワード② 血糖値生活習慣病食品ロス官能評価リサイクル調味料
教育・研究への取り組み 肉製品製造学研究室では実習を通して食肉製品や魚肉練り製品の製造原理を理解するだけでなく、品質評価に関する実験を取り入れた実践的な教育を行っています。また、野生動物のエゾシカ肉やと畜時に生じる内臓(腎臓)等の有効活用を目的として醤油醸造技術を用いて肉醤に変換し、新たな食品へ再利用する研究を行っています。
食品学研究室では食品工場で排出される食品ロスを利用した発酵調味料への変換技術や道産食材を活用し、生活習慣病の予防を目的とした黒千石大豆含有おにぎりの血糖値上昇抑制効果と官能特性に関する研究を行っています。
受験生へのメッセージ 近年の世界的な人口増加に伴う食料不足問題、食品ロスと環境問題、消費者の健康性志向、嗜好性の多様化・安全性への関心、産地偽装表示問題、最近の新型コロナによる販売形態への対応等食品に関して原料から人間が食するまでの幅広い知識の習得が現代社会では必要になってきています。研究室では新たな食資源の創出、安全性及び健康に寄与する実践的な研究を行っています。酪農学園大学で食品をいろいろな角度からのぞいてみませんか?
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研究シーズ

研究キーワード 乳清(ホエイ) 鶏肉 肉醤(ししびしお)
環境負荷の軽減を目指した再利用発酵調味料の開発
研究の概要・特徴

 一般に乳清 (ホエイ) とは、生乳及び生乳を原料とする製品を乳酸菌で発酵させるか、または、生乳に酵素を加えてできた凝乳の上澄みとして採取されるものである。ホエイはチーズを作る際に固形物と分離された副産物として大量に排出されるが、近年、栄養価が高いことや機能性も認められることから粉末状に加工したサプリメントや家畜の飼料などに利用されている。しかし、食品素材への利用は依然として少ない。
 本研究では食品加工現場で副産物として発生するチーズホエイ (Fig.1) の有効活用を目的として醤油醸造技術を改良した新たな発酵法により再利用発酵調味料を製造した。まず、成鶏より調製した発酵調味料の物理化学的および呈味特性に及ぼすホエイ添加の影響を検討した。その結果発酵中に各種もろみの色調や風味に変化がみられた (Fig.2と3)。最終製品の品質をみると、鶏肉添加区とホエイのみ添加区では色調や化学成分などが大きく異なることが分かった。また、味覚分析データの主成分分析から呈味の可視化図が得られ、鶏肉添加区とホエイのみ添加区ではうま味などが著しく異なり、鶏肉とホエイの混合添加区では呈味も両者の中間となることが分かった。
 以上の結果より、食品加工時に生じる副産物は発酵法の選択で多様な発酵調味料に変換され、環境負荷の軽減に対応した新たな製品の製造の可能性が示唆された。

Fig.1  回収したチーズホエイ Fig.1 回収したチーズホエイ
Fig.2 8週間発酵させたもろみ(その1) Fig.2 8週間発酵させたもろみ(その1)
Fig.3 8週間発酵させたもろみ(その2) Fig.3 8週間発酵させたもろみ(その2)
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

チーズホエイには乳糖が約4.5%含まれることから発酵調味料の色調に影響すると考えられる。また、Zygosaccharomyces rouxii は乳糖を資化しないが,Lc.lactis,Str.mutans,Lb.curvatusおよび一部の Lb. casei は乳糖を資化することから チーズホエイの回収直後の利用は乳糖の消費によるメイラード反応による色調の濃色化の抑制に役立つ可能性がある。色調が薄いエキスであれば幅広い食品への再利用が期待される。