舩津 保浩

食と健康学類

舩津 保浩 ふなつ やすひろ

教授

研究室番号
C8-203
取得学位 博士(水産学)
研究室・ユニット名① 肉製品製造学
研究キーワード ブタ 腎臓 肉醤(ししびしお)

ブタ腎臓から調製した新規発酵調味料の品質特性

研究の概要・特徴

日本では一般に家畜がと畜工程で枝肉を経て部分肉となり、精肉や食肉製品へと加工されている。と畜から枝肉になるまでの過程で血液、内臓及び余分な脂肪等の副産物が副次的に派生され畜産副生物になっている。畜産副生物には、各種の内臓、骨、血液及び蹄角等が含まれ、これらは食用、医療用、工業用及び農業用等に利用されている。しかし、食用として内臓は保存性が低く、腐敗が急激に進むため保管の仕方によっては商品価値がなくなってしまうだけでなく、検査による廃棄率も高い。
日本では豚肉が多く消費されているため副生物も多く、特にマメ(腎臓)はアンモニア臭が強いため、ほとんど利用されていない。そのため食肉加工業界では食品素材としての有効活用が求められている。
本研究ではブタ腎臓の有効活用を目的として内臓タンパク質から醤油醸造技術を利用して2タイプの新規発酵調味料(肉醤)を製造し、その品質特性を調査した。その結果、仕込み時に米麹を用いた肉醤Rは尿管除去有無に関わらず主原料に強く感じられるアンモニア臭が最終製品では感じられず、醤油用酵母の添加により色調と有機酸量の制御が可能となった。また、味覚分析から酵母を添加することでうま味が増加し、尿管除去により原料由来の苦み(クセ)が強くなることが分かった。次に、食塩とクエン酸によりアンモニア臭除去処理を行った腎臓を基質とした腎臓麹だけでなく、同様の処理を行った主原料も用いて肉醤Kを製造したところ、肉醤Rより全窒素分や遊離アミノ酸量が多く、醤油用酵母の添加により濃厚タイプの風味豊かな製品が得られた。さらに、肉醤Rを焼豚に利用したところ、順位法による官能評価では尿管除去や酵母添加の有無にかかわらず色調、味、香り及び全体的な品質には試料間の違いが見られなかった。そのため手間のかかる尿管の除去はせずに消費者のニーズに応じた肉醤Rを焼豚の味付けに利用できることが分かった。

畜産副生物から肉醤への変換フロー 畜産副生物から肉醤への変換フロー
4種類の 肉醤K(クエン酸処理タイプ) 4種類の 肉醤K(クエン酸処理タイプ)
肉醤Rの焼豚への応用 肉醤Rの焼豚への応用
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

本研究で得られた発酵調味料の焼き豚への添加試験からいずれのタイプの発酵調味料も官能的品質は類似していること、大手企業の製品と比べてうま味の後味を強めることで製品の呈味の差別化できることが順位法による官能評価や味覚分析か ら明らかとなった。