毛利 泰大

循環農学類

毛利 泰大 もうり やすひろ

講師

研究室番号
A3-502

教員・研究室

研究室・ユニット名 統計学
研究テーマ 農村・農業・食料における社会現象に対する統計学を応用した実証分析
学びのキーワード 統計学社会科学社会調査農村社会食料生産
教育・研究への取り組み 国内、国外の農業・農村・経済を対象に持続的な農業や経済発展について研究しています。研究の結果や主張を客観的に示すために統計分析を行っています。また、実際にフィールドにおいて社会調査をする際にも統計学的な方法論に注意しています。
受験生へのメッセージ 例えば、コンピュータソフトを活用して統計分析をするというスキルを身につけることは重要です。しかしそれ以上に、統計学的な考え方で社会を観察する能力を習得することが重要だと考えています。データ分析やフィールド調査、議論を通じてそのような力を身につけましょう。
研究室探訪

研究シーズ

研究キーワード 北海道 圃場分散 GIS
北海道水田地帯における圃場分散の状況
研究の概要・特徴

・北海道特に南空知は我が国最大規模の水田農業が展開する地域です。一つの農業経営体の耕作規模が大きいのは、歴史的に離農(農家をやめること)に伴い、供給される農地を残存する農家が引き受けることで規模拡大がなされてきた背景があります。農地拡大に伴い危惧されるのが圃場分散問題です。圃場分散問題とは耕作する農地の位置が面的にまとまっていないことによって生じる諸問題であり、農業機械の利用効率に影響を及ぼします。

・近年、整備されてきている位置情報データ(GISデータ)を用いて圃場分散の状況を把握します。圃場が分散していることを計測する指標として次の2つを用います。一つは標準距離、もうひとつは団地数です。図1に指標のイメージ図を示します。この耕作者は6つの圃場で耕作しています。青点は各圃場における地理的中心(重心)で、青星は圃場群全体の地理的中心です。青点から青星までの直線距離をそれぞれの圃場で求め平均値が標準距離のイメージです。圃場が全体的にちらばっているかどうかを計測します。一方、団地数は各圃場が隣り合っているかどうかをみます。図1では団地数は2であることがわかります。

・主に北海道の岩見沢市、美唄市、南幌町などの水田農業経営体の圃場分散の状況を計算し耕作面積との関係を見たのが図2です。図の赤い点は農業法人、白い点は個人の農家さんです。団地数と耕作面積との関係をみると規模の大きな経営体ほど団地数が多くなっていることがわかります。一方、標準距離は規模との関係は団地数に比べ複雑です。規模が比較的小さいにもかからわず標準距離が大きい経営体やそうではない経営体があることがわかります。

・このようなデータや指標を用いて北海道農業の全体像を調べています。分析の方法として回帰分析等を適用することで法人は個人に比べて圃場分散を抑えているか?などを調べることができます。

図1 標準距離と団地数のイメージ 図1 標準距離と団地数のイメージ
図2 標準距離と団地数の耕作面積との関係 図2 標準距離と団地数の耕作面積との関係
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

近年、位置情報に関するデータが農業経済・経営に関する分野でも注目されています。これらを活用して農地がどのように分布しているのか?それらが経営にどのように影響するのかを調べることは重要であると考えています。