本学の獣医学教育は、昭和39年に産業動物医療に従事する臨床獣医師の養成を目的に設置されて以来、獣医学はもとより酪農学や環境学を研究対象とする教員や広大なキャンパス内に飼育される産業動物を含めた教育資材を有効に利用し、先端的な産業動物関連の諸科学を学ぶことで酪農家を支援する実践的な獣医師の育成を図ってきました。

近年、食の安全・安心に関する意識の高まりや人獣共通感染症への対応、伴侶動物医療の高度化、進歩の著しい生命科学への参加等、獣医師に求められる範囲は拡大の一途にあり新たな獣医学教育が求められています。獣医学類ではこれまで培われた知識や施設を最大限に活用しつつ、獣医学およびその関連分野における高度な知識と技術を習得し、迫り来る諸問題を解決できる能力を養うことによって実践的な産業動物、伴侶動物、公衆衛生関連獣医師を育成し、また、わが国の獣医療や食の安全および動物の福祉ならびに生命科学における先端的研究を推進できる人材を育成します。

TOPICSトピックス

GREETINGごあいさつ

獣医学群長
村松 康和

1964年に酪農学園大学酪農学部に獣医学科が併設され、『健土健民』・『三愛主義』の建学の精神に基づく本学の獣医学教育が始まりました。以来、獣医学科6年制移行などの変遷を経て、1996年には酪農学部から独立し獣医学部獣医学科に改組されました。さらに2011年の学部改組により、獣医学部は獣医学類(科名変更)と獣医保健看護学類(新設)の2学類から成る獣医学群へと、発展的変革を遂げ、現在に至っております。
開設以来60周年を迎える獣医学類では、これまでに約7,000人、獣医保健看護学類では10年余の間に約500人に及ぶ動物医療のエキスパートを社会に輩出してきました。建学の精神に根差した実学教育による学びを修めた卒業生の皆さんは、多くの分野(伴侶動物臨床・生産動物臨床・公衆衛生・動物衛生・研究開発等)で遺憾なくその実力を発揮され、日本国内はもとより世界各地で活躍されています。
本学は北の都・札幌の近郊にありながら、原始林を有する道立自然公園(野幌森林公園)に隣接する、自然豊かで広大なキャンパスが自慢です。本学群における学びの強みは、犬や猫などの伴侶動物についてはもちろんの事、学内・学外で飼養されている乳牛、肉牛や馬にいたる生産動物全般についても十二分に勉強できるということです。両学類の上級学年ではクリニカルローテーション実習が組まれており、実習教育の中心となる附属動物医療センターの診療頭数は全国の獣医系大学の中で常にトップクラスを維持しています。
獣医学群では、『様々な専門領域に渡る高度な知識や技能と問題解決に必要な思考力及びチーム医療を担う高い実践能力と豊かな人間性の獲得』をディプロマポリシー(学位授与方針)として定め、それらを具現化するためのカリキュラムを展開しています。さらに獣医学群では、学生が卒業時点でどのような知識や技能を修得できているかを保証するDay One Competencyという教育指標を明確にし、2021年度から両学類に共通する新しいカリキュラムをスタートさせました。これは獣医学群の教育を国際レベルで行うものであり、教育の質の保証を主眼とした、先進的で画期的な内容となっています。
2019年6月には愛玩動物看護師法の制化があり、動物看護師は国家資格となりました。獣医療の進化と深化は日進月歩であり、近未来の獣医師や動物看護師には、より高度な知識と技能に裏付けられた社会貢献が求められています。社会からの期待が大なることは、それだけやりがいに満ちた職種であることの証左です。
獣医学群では世界に、そして未来に貢献できる有能な人材の育成に努めて参ります。熱意を持って獣医学、あるいは動物看護学を学びたい方を歓迎いたします。

獣医学類長
寺岡 宏樹

本学の獣医学類は、来年、人間でいう還暦を迎えます。大学名が物語るように、本学類は乳牛を中心とした産業動物獣医師の育成を目的として開設されました。現在(令和4年)、全国のNOSAI獣医師の実に20%以上が酪農王国を支える北海道NOSAIに集中していますが、このうちの約35%を本学類の卒業生が占めるまでになっています。 
本学が誇る動物医療センターの2022年度の年間診療頭数は約55,625頭でした。これは日本の獣医系大学の診療頭数で2位の4倍を超える圧倒的1位です。獣医医療の最前線が本学類生の学びの場ともなるので、産業動物も含めた診療頭数が多いことは大きな強みです。この診療頭数を背景に、伴侶動物医療分野では内科、外科、循環器科、神経科、腫瘍科/軟部外科、リハビリテーション科と充実した高度獣医療を提供しています。生産動物医療分野ではセンター内での診療に加え、往診業務にも随行することで、学生はより実践的な獣医学を身につけることができます。本学は札幌圏内にあることから、多くの動物病院とも交流することができます。さらに本学では獣医保健看護学類の学生とともに学ぶことで、医療現場で重要な動物看護師と連携する機会にも恵まれています。
以前と比べると、獣医師が果たす役割が非常に広いことが少しずつ浸透してきたように思いますが、欧米を含めた海外獣医系大学と比べた時の日本の1つの特徴は基礎研究教育が充実していることであることをご存知でしょうか。かなり以前から、製薬会社やその他の生命科学関連会社や研究所の研究員として活躍されている卒業生も数多くいらっしゃいます。
近年、全国的に獣医師の需要が顕著に高まってきています。特に、生産動物と地方公務員の人材獲得はかなり困難になってきていると伺がっています。地方公務員獣医師は地域の畜産業になくてはならないのはもちろん、人の衛生行政にも重要な役割を果たしています。本学類は積極的に国際連携を進めて、より良い人と動物の健康、健全な環境を目指して衛生学分野にも力を入れています。
北海道にあって、札幌圏の都市機能に恵まれ、日本一の酪農地帯と多くの野生動物も生息する大自然を併せ持つ立地が、本学の大きな魅力の一つではないでしょうか。卒業生の満足度は高いようです。しかし、より質の高い獣医師を養成するため、現在、本学類はヨーロッパ獣医学教育機関協会(EAEVE: European Association of Establishments for Veterinary Education)の国際認証の取得を目指しています。これは国内の私立大学としてははじめての取り組みです。伴侶動物臨床系を中心に教員を大幅に増員し、欧州並みに設備を充実させるなど、本学の獣医学教育のスペックを高める改革の坂道を上っているところです。

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CURRICULUMカリキュラムの特徴

カリキュラムの特徴

獣医師として必要な幅広い知識と技能、将来活躍する分野を見すえた高度な専門性と実践力を付与するカリキュラム獣医学類6年一貫教育で採用しているカリキュラムは、獣医学を構成する広範多岐にわたる教科内容の十分な理解と修得のための連続性と段階性を考慮し、さらに獣医師として必要な倫理観や動物福祉ならびに専門性を加味して体系的に編成されています。
授業科目は基盤教育、専門基礎教育、専門教育、専修教育、畜産関連科目の5つの科目区分から構成されます。

基盤教育

建学の理念や獣医療について学ぶ酪農学園導入教育科目、専門基礎教育および専門教育の理解に必要な生物学や化学、統計学、国際的コミュニケーション能力を身につける英語科目などを修得する。

専門基礎教育

学群共通専門基礎科目では獣医学の基盤的科目として生理学、生化学、薬理学、感染と免疫、動物倫理学、動物福祉学、動物行動学、野生動物学などを修得する。全学共通専門基礎科目では全学共通科目や博物館実習を学ぶ。

専門教育

5分野が担当する獣医学専門科目を修得する。参加型実習では大学内外における少人数制の充実した実習を通じて、実践的能力を身につける。

生体機能学分野

的確な診断、治療に必要な動物の正常な形態や機能を理解する。
獣医解剖学、獣医組織学、獣医生化学、獣医生理学、獣医薬理学など

感染・病理学分野

疾病の原因や発症機序、症状、診断などを理解する。
獣医微生物学、動物感染症学、獣医寄生虫病学,魚病学・原虫病学、獣医病理学各論など

予防獣医学分野

病気の原因の究明や発生予防・制御のために求められる様々な環境要因などを理解する。
食品衛生学、人獣共通感染症学、獣医疫学、獣医衛生学、ハードヘルス学など

伴侶動物医療学分野

伴侶動物が罹患する疾患の診断、治療、予防に関する知識、技術を習得する。
伴侶動物内科学、伴侶動物外科学、獣医麻酔疼痛管理学、画像診断学など

生産動物医療学分野

生産動物の病気の診断、治療、予防に関する知識を総合的に実践する能力を養う。
産業動物臨床学、臨床繁殖学、産業動物臨床学実習など

参加型実習

少人数ローテーション制により、実際の伴侶動物医療ならびに産業動物医療への積極的参加、疾病の生前診断・病理診断のハンズオン実習などを行い、獣医師として活躍するために必要な様々な実践的能力を身につける。
獣医臨床基礎実習、参加型伴侶動物臨床実習、参加型産業動物臨床実習、総合病理診断学実習、食鳥検査学実習

学びの流れ

1年次

基盤教育

  • 酪農学園導入教育
  • 人文社会科学教育
  • 自然科学教育
  • 保健体育教育
  • 情報教育
  • 外国語教育

専門基礎教育

  • 学群共通専門基礎科目
  • 全学共通専門基礎科目

専門教育

  • 生体機能学分野
2年次

基盤教育

  • 自然科学教育
  • 外国語教育

専門基礎教育

  • 学群共通専門基礎科目

専門教育

  • 生体機能学分野
  • 感染・病理学分野
  • 伴侶動物医療学分野

畜産関連科目

  • 畜産関連科目
3年次

専門基礎教育

  • 学群共通専門基礎科目
  • 全学共通専門基礎科目

専門教育

  • 生体機能学分野
  • 感染・病理学分野
  • 予防獣医学分野
  • 生産動物医療学分野
  • 伴侶動物医療学分野
4年次

専門基礎教育

  • 学群共通専門基礎科目

専門教育

  • 予防獣医学分野
  • 生産動物医療学分野
  • 伴侶動物医療学分野
  • 参加型実習

専修教育

  • 専修教育共通科目
  • 専修教育コース(生体機能学)
  • 専修教育コース(感染病理学)
  • 専修教育コース(予防獣医学)
  • 専修教育コース(生産動物医療学)
  • 専修教育コース(伴侶動物医療学)

畜産関連科目

  • 畜産関連科目
5年次

専門教育

  • 予防獣医学分野
  • 参加型実習

専修教育

  • 専修教育共通科目
  • 専修教育コース(生体機能学)
  • 専修教育コース(感染病理学)
  • 専修教育コース(予防獣医学)
  • 専修教育コース(生産動物医療学)
  • 専修教育コース(伴侶動物医療学)
6年次

専修教育

  • 専修教育共通科目
  • 専修教育コース(生体機能学)
  • 専修教育コース(感染病理学)
  • 専修教育コース(予防獣医学)
  • 専修教育コース(生産動物医療学)
  • 専修教育コース(伴侶動物医療学)

Pick up Curriculumピックアップカリキュラム

獣医生理学各論

獣医生理学各論

哺乳動物における餌の種類から消化吸収のしくみ、栄養素の吸代謝・機能を関連させて理解すると共に、代謝病が起こるしくみを理解します。また、生体機能のホルモン性調節機序とその異常が起こす病態を理解します。

獣医生化学

獣医生化学

細胞の分子的理解を基礎として、生体全体の生命活動を分子レベルで理解します。動物や人の病気は、その正常な生命活動が不可能に陥ることです。分子レベルでの理解に基づき、病態の適切な理解と対処法を身につけます。

獣医解剖学実習

獣医解剖学実習

骨格系、筋系、呼吸器系、泌尿生殖器系、循環器系、神経系などを系統的に順次解剖し、各器官の構造を観察し、その器官の生体での働きと構造との関連性を考察します。

獣医病理学

獣医病理学

病気の際に体の中で生じる細胞、組織、器官・臓器レベルの変化、もしくは、遺伝子や蛋白など分子レベルの変化について学習し、様々な病気の成り立ちを理解するための基礎的知識を身につけます。

総合衛生学実習(獣医衛生)

総合衛生学実習(獣医衛生)

生産動物の生産性を維持向上させるために必要な予防獣医学上のベーシックスキルを修得します。乳牛の群(ハード)における健康管理(ハードヘルス)、乳房炎の診断と予防に関する技術等(獣医衛生)について多角的に学びます。

獣医疫学

獣医疫学

獣医衛生・公衆衛生・獣医臨床分野においてますます重要性を増している獣医疫学の基本的な考え方と解析手法を身につけ、獣医関連分野に応用可能な実践的「獣医疫学」を学びます。

産業動物臨床学

産業動物臨床学

生産動物の診療の要点について、動物種ごとの特徴を理解し、診療の流れを習得します。特に畜産物の安全性、生産動物としての取扱を念頭においた獣医療の実際を学びます。

伴侶動物臨床学実習

伴侶動物臨床学実習

伴侶動物臨床に必要な基本的手技を習得します。内科検査手技、外科手技、エキゾチックアニマルのハンドリング、麻酔手技、画像読影など14の項目について、1班10名程度の少人数ローテーション制のきめ細やかな実習を行います。

教員・研究室一覧へのリンク WOAHサイト 獣医学類紹介チラシ サイエンスファーム

資格案内

取得可能資格

必要要件を満たせば卒業と同時に取得可能な資格です。

  • 食品衛生責任者
任用資格

特定の職業に任用されるための資格。
資格を取得後、その職務に就いて初めて効力を発揮する資格です。

  • 食品衛生監視員
  • 食品衛生管理者
  • 飼料製造管理者
  • 環境衛生監視員
  • 家畜人工授精師
  • 狂犬病予防員
    ※獣医師免許取得者は資格を有する
  • と畜検査員
    ※獣医師免許取得者は資格を有する
  • 薬事監視員
受験資格

必要要件を満たせば受験する資格が得られます。

  • 獣医師国家試験
サポートする資格