酪農学園大学ワイン2025完成報告会を開催
Date:2025.11.24
NEWS No.89(2025年度)
酪農学園大学ワイン2025完成報告会を開催
2025年11月21日(金)、ホテルエミシア札幌にて、「2025年度 酪農学園大学ワイン完成報告会」を開催しました。会場には、ワインサークル“ROWP”(ロープ)の学生をはじめ、日頃よりサークル活動に協力いただいている関係者・教職員ら70名程が参加し、今年完成した記念すべき第10作目となる酪農学園大学オリジナルワインの試飲を行い、活動や研究の報告を行いました。
本学のワインプロジェクトは2015年度からスタートし、今年度で10周年を迎えます。記念すべき節目の年である2025年度は、ワインサークル“ROWP”の設立10周年(大学公認化7周年)とも重なり、関係者全員にとって例年にも増して特別な想い入れのあるワインとなりました。今年は猛暑で作業は大変でしたが、日常的な学生達の努力と周囲の方々の協力に加え、有機農薬を早めにこまめに散布したことも功を奏し、キャンベル・アーリおよびロンドの両品種ともに豊作の年となりました。ブドウの生育は非常に良好で、学生たちは例年以上に収穫・仕込み作業に熱が入りました。
開会挨拶(食と健康学類 学類長 ワインサークル“ROWP”顧問 阿部 茂 教授)
「本学オリジナルワインは、おかげさまで10周年を迎えました。ここまで続けることができたのは、学生をはじめ多くの皆様のご協力とご尽力のおかげです。一昨年から北海道ワイン様でのオンライン販売を開始し、発売と同時に完売するほどの反響をいただいています。OBOGの皆様にもご購入いただき、大変うれしく思います。本日は短い時間ですが、ぜひお楽しみください。」
来賓挨拶(北海道ワイン株式会社営農部次長 小林 千洋 様)
「10周年、誠におめでとうございます。私は大学構内のブドウ栽培管理の指導を担当しており、昨日も“ROWP”の学生と雪が降る中、学生たちと剪定作業を行いました。冷え込む中の大変な作業ですが、学生の皆さんはよく頑張っていました。10年の間、毎年、ブドウの木を整えてきましたがようやく最近、樹形が安定してきました。その成果もあり今年は多くのブドウを収穫することができました。猛暑の中での枝の誘引や草刈りなど、これまでの学生の努力が実を結んだ1年です。その苦労を思い返しつつ、今日はぜひ楽しんでください。」
乾杯 学校法人酪農学園 髙島 英也 理事長
「今年のブドウの栽培は本当によくできました。最終的には北海道ワインの小林さんにお世話になっていますが、ワインの品質はブドウ自体の品質が90%です。この時期から剪定を行い、芽吹きの頃もしっかり学生が活動している様子をいつも見ていました。ブドウの実が熟すタイミングを見て葉を摘み、鳥に食べられないようネットをかける。その一つ一つの学生の活動の様子を見届けながら、よく頑張っているなといつも感心していました。本当にお疲れさまでした。」
乾杯の後は、ワインにあう料理と共に今年のオリジナルワインの試飲となりました。過去のワインも用意され、飲み比べも行われました。




学生司会
食と健康学類3年 大野 素生さん (酪農学園大学附属とわの森三愛高校出身)
食と健康学類3年 木村 かがりさん (東京農業大学第三高校出身)
“ROWP”設立10周年 ―オリジナルワインのラベルデザインについて―
食と健康学類2年 佐藤 愛華さん (市立札幌旭丘高校出身)


「今年はサークル設立10周年の節目の年ということで、“10th Anniversary”をしっかり前面に出したデザインにしました。これまでにない雰囲気にしたいと考え、ツバキ・ボタン・キクの3つの花を取り入れています。赤いツバキの花は『誇り』『控えめな優しさ』を表し、活動を通して感じた支え合いの大切さを込めました。ボタンは『壮麗』『誠実』『思いやり』の意味があり、栽培や人との関わりで大切にしたい姿勢を表しています。ピンクには『幸福』という意味もあり、“ROWP”に関わる皆さんへの願いを込めました。キクは江別市の花で、黄色のキクの花には『高貴』『信頼』『不老長寿』を意味します。背景の牛柄は酪農学園大学らしさと、キャンベル・アーリの圃場が牛舎横にあることに由来しています。ワインとともラベルのデザインも楽しんでいただけましたたら嬉しいです」
黎明 ―10年目の軌跡 ―
食と健康学類3年 成田 有寿さん (市立札幌平岸高校出身)
「今年は1年生に加え、2・3年生も含め18名が新たに加入しました。現在は食と健康学類がある農食環境学群の学生はもちろんのこと、獣医学類や獣医保健看護学類も含めて全学類の学生が参加するサークルへと成長しています。年間の作業は、枝を誘引するためのヒムロッド立ての設置、白樺祭では燻製したチーズとウィンナーの販売、夏休みは猛暑の中での週2回の作業など、部員全員で力を合わせて取り組みました。また、砂川での圃場作業やロンドおよびキャンベル・アーリの収穫も行いました。キャンベル・アーリは今年は207キロもの収穫量を記録することができました。収穫したブドウは北海道ワインへ運びワインとして醸造してもらいました。冬剪定も含めて年間を通じた1年でした。多くの支えを実感する1年となりました。ありがとうございました。」
道産ミズナラ材を用いたフレーバースティックの開発
食と健康学類3年 古舘 颯真さん(福岡県立八女農業高校出身)
食と健康学類3年 長谷川 歌音さん(福島県立会津農林高校)
「道北の幌延町の創生事業として、道産ミズナラ材を用いたフレーバースティックの開発に取り組みました。ミズナラ製木樽は特産品化が進んでいますが、製造時には非常に多くの端材が発生します。そこで、この端材を有効活用するため、木樽と同じ素材を焼き入れ加工し、お酒に浸けることで樽熟成のような風味を付与できるフレーバースティックの試作を行いました。実験では、加熱条件として240℃・60分が最適であることが分かり、アルコール度数が高いほど甘い香りが引き出すことができる傾向も確認しました。今年度は、実際のお酒に浸けた時の効果検証にも着手しています。今後も端材の新たな価値創出につながる研究を続けていきたいと考えています。」
その後、フレーバースティックの展示が行われ、アルコール抽出したミズナラの香りの評価が行われました。
ワインづくりの副産物を“食の資源”へ ―ワインパミスの有効利用に向けた取組―
食と健康学類3年 成田 有寿さん (市立札幌平岸高校出身)
食と健康学類3年 江端 珠々さん (北海道釧路湖陵高校出身)
「温暖化の影響により北海道での醸造用ブドウ生産量が増え、ワイナリー数もこの10年で急増しています。その一方、生産量の拡大に伴いワインの搾りかすであるワインパミスも増加していますが赤ワインでは20~30%が未利用資源として排出されているのが現状です。そこでポリフェノールを豊富に含むワインパミスを、気候変動や病害虫の影響で生産量が減少しているカカオの代替素材として活用できないか研究しました。香気成分を分析したところ、ワインでも検出されるフェネチルアルコールやエチル系の軽いエステル類に加え、チョコレートと共通する成分も3種類確認され、特に150分ローストで最も多く検出されました。これらの結果から、ワインパミスがカカオ代替品として利用できる可能性が示唆されました。今後も、ワインパミスの有効活用について更に研究を深めたいです。」
その後、今回開発したワインパミスを活用したチョコレートとチーズの試食とアンケートが行われました。
「酪農学園大学ワインプロジェクト10年の軌跡」スピーチリレー」
酪農学園大学ワインプロジェクト10年の軌跡として、卒業生によるスピーチリレーが行われました。これまで活動を支えてきた先輩たちが、それぞれの時代の思い出や挑戦について語り、その想いのバトンを現在活動する学生たちへとつなぐ温かい時間となりました。
教職員インタビュー
酪農学園大学ワインプロジェクト10年の軌跡を辿ることを目的に、教職員インタビューが行われました。大学入試広報センター職員で“ROWP副顧問でもある津川裕一さんがインタビュアーとなり、創設期から本取り組みを牽引されてこられた山口昭弘名誉教授と阿部茂教授の2名に、活動の原点となった創設期を写真と共に振り返ってもらう形式で進められました。
阿部教授からは、今でこそ、このワインプロジェクトは学内外に広く認知された活動となったが、当初は学内外ともに障害が多く、本当に困難の連続であったことが語られました。「それでも10周年を迎えることができたのは、“継続は力なり”と信じて取り組んできたから」と話されました。山口名誉教授からは、「多くの苦労を乗り越えてきたからこそ、10年目にこうして皆が集う場になったことを感慨深く感じている」と温かい眼差しで当時の苦労を思い返しながら語られました。
また、本学がロゼワインを選んだ理由として、その年に収穫したブドウを、その年度に卒業する卒業生が卒業祝賀会で飲むことができるよう、醸造に時間を要さないロゼを選んだことや、醸造免許を持たない本学に代わって醸造を担っていただけるワイナリー探しにも多くの苦労があったエピソードなどが紹介されました。さらに、ワインプロジェクトが研究活動として取り組むゼミ(正課授業)と、学類や学年の垣根を越えたサークル(課外活動)の両輪で発展してきたことも語られました。
最後に両先生から「10周年を迎えることができたのは皆さんのおかげであり、これからも毎年、この完成報告会で皆さんが集う場になってほしい」と感謝の言葉が述べられました。
閉会挨拶(酪農学園大学 岩野 英知 学長)
「先ほど先生方から、前例のないところから立ち上げ、多くの障害の中で大変ご苦労された10年の歩みについてお話がありました。今は新しいことに挑戦できる体制も学長の立場として整えつつあり、ゆくゆくは大学構内でもワイン完成報告会ができるような環境もつくっていくのも一つと考えています。このワインサークルと完成報告会が今後も長く続くことを願っています。ブドウを丁寧に育ててくださった皆さん、そしてそれを支えてきた周囲の皆さんに心より感謝申し上げます。10周年、本当におめでとうございます。」
【参考】関連記事
◆2025.11.17 酪農学園大学ワイン2025の販売開始について
https://www.rakuno.ac.jp/archives/41177.html
◆2024.11.21 酪農学園大学ワイン2024の販売開始について
https://www.rakuno.ac.jp/archives/35031.html
◆2023.11.17 酪農学園大学ワイン2023の販売開始について
https://www.rakuno.ac.jp/archives/30133.html
◆2022.12.05 酪農学園大学ワイン2022完成報告会を開催
https://www.rakuno.ac.jp/archives/25339.html
◆2021.12.07 酪農学園大学ワイン2021完成報告会を開催
https://www.rakuno.ac.jp/archives/18745.html
◆2021.02.26 【全私学新聞】サークルで育てたブドウのワイン/原料に赤ビートやホエイ 大学内で進む独自の酒造り(食と健康学類 山口昭弘教授、阿部茂教授、ワインサークルROWP)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/13666.html
◆2020.11.27 酪農学園大学ワイン2020完成報告会を開催
https://www.rakuno.ac.jp/archives/12408.html
◆2019.12.02 酪農学園大学ワイン2019完成報告会を開催
https://www.rakuno.ac.jp/archives/7046.html
◆2017.10.04 北海道ワイン株式会社と包括連携協定を締結
http://exc-old.rakuno-ac.jp/article-8365.html
【参考】関連ページ
◇ワインサークル“ROWP”
https://www.rakuno.ac.jp/archives/club/1876.html



























