
教員・研究室
取得学位 | 博士(獣医学) |
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研究室・ユニット名 | 伴侶動物内科学 |
研究テーマ | 伴侶動物の内科疾患の病態解明と新規診断法・治療法の開発 |
学びのキーワード | 犬猫消化器神経画像診断炎症性疾患 |
教育・研究への取り組み | 近年の超音波技術の発展はめざましく、肝胆膵分野の診断に大きく貢献しています。特に近年注目されている臓器の硬度を定量化するシアウェーブ・エラストグラフィが、犬の肝線維化診断に非常に有用であることを獣医療で初めて明らかにしました。現在も研究室では肝胆膵領域を中心に、新たな超音波技術の獣医療への応用について研究を行っています。日々の臨床をベースにした研究を展開し、得られた研究成果を診療にフィードバックする"臨床と研究のクロストーク"を目指しています。 |
受験生へのメッセージ | 近年の高度化された獣医療のもと、本学附属動物医療センターでは各診療科が専門性の高い仕事をしています。診療科間の連携も素晴らしく、他分野スペシャリストの意見を気軽に聞くことができる雰囲気です。自然豊かな本学で、伴侶動物医学の発展のために共に学びましょう。 |
研究シーズ
研究キーワード | 腸内細菌叢 16S rRNA 腸肝軸 |
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腸肝脳軸に着目した犬の肝性脳症の増悪機構の解明
研究の概要・特徴
腸内細菌叢(マイクロバイオーム)は、消化器疾患のみならず、肝疾患や神経疾患など様々な病態と関連することが近年明らかとなってきた。とくに「腸肝脳軸(gut–liver–brain axis)」と呼ばれる概念は、腸内細菌叢の破綻(dysbiosis)が肝性脳症(hepatic encephalopathy: HE)の病態進行に深く関与している可能性を示唆しており、人医療においても重要な研究テーマとなっている。一方、獣医領域においては、HEにおける腸内細菌叢の動態やそれに基づく治療介入法についての知見は極めて乏しいのが現状である。
そこで私は、先天性門脈体循環シャント(CPSS)に罹患した犬を対象として、糞便16S rRNA遺伝子解析による腸内細菌叢の変化や、アンモニア・内毒素の産生に関わる微生物群の特定を行っている。さらに、抗菌薬リファキシミンを用いた治療前後におけるマイクロバイオームの推移を longitudinal に評価し、HEの病態進行に関与する微生物学的メカニズムの解明と、腸内細菌叢を標的とした新たな治療戦略の確立を目指している。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
本研究は、獣医療のみならず医学の発展にも寄与出来るトランスレーショナルリサーチであると考えています。
本研究で得られた成果を通じて、医学・獣医学双方において、お互いに学び種の区別なくあらゆる生き物の健康の向上を目的とする「One Health:健康はひとつ」の理念に基づいた研究を引き続き実施していく所存です。