山田 雅文

食と健康学類

山田 雅文 やまだ まさふみ

教授

研究室番号
C3-203

教員・研究室

研究室・ユニット名 医学・生理学
研究テーマ 様々な疾患と栄養との関わりについて、その病態とともに学ぶ。
学びのキーワード 健康栄養疾患病態
教育・研究への取り組み 2022年3月まで北海道大学小児科で准教授として免疫異常を持った患者さんの診療、研究、教育を行なってきました。管理栄養士養成コースの皆さんが将来、人体の構造や機能、様々な疾患の病態を理解した上で栄養管理、指導を行えるよう尽力していきたいと思います。北大との繋がりも継続して教育、研究を進めていきます。
受験生へのメッセージ 酪農学園大学は緑豊かで素敵なところです。講師との距離が近く、これをやりたい、もっとこんなことを勉強したいと思ったらできる環境にあると思います。私も初心にかえって一から取り組んでいますので、分からないことがあれば遠慮せずに質問して頂いて、一緒に学んでいきましょう。

研究シーズ

研究キーワード 原発性免疫不全症新生児マススクリーニング 遺伝性葉酸吸収不全症 食物アレルギー
原発性免疫不全症 (PID)の早期診断とアレルギー診療体制の構築
研究の概要・特徴

原発性免疫不全症 (PID)の新生児マススクリーニング(NBS):PIDは遺伝子異常により生後早期から易感染性を呈する疾患である。早期診断に基づく治療を開始しないと致死的感染症で死亡するリスクの高いT細胞欠損症(重症複合免疫不全症)とB細胞欠損症を対象とし、道内では我々が中心となってNBSを開始した。それぞれTREC, KRECという新生T, B細胞特異的に産生される環状DNAを新生児ろ紙血を用いて定量PCRで測定している。有料の検査であること、TREC, KRECだけでは検出できないPIDを如何にスクリーニングするかなど課題は山積しており、検査施設や3大学小児科、全国のPID施設とともに取り組んでいる。
遺伝性葉酸吸収不全症(HFM):HFMは小腸から葉酸を吸収するPCFTというトランスポーターをコードする遺伝子の異常による先天性疾患であり、我々はこれまで国内で6家系を早期に診断し、救命と状態の改善に貢献してきた。極めて稀な疾患であり、また、生後早期から急激に状態が悪化するため、診断がされずに死亡している例も少なからず存在している可能性が高く、論文や学会での発表、ホームページ上への掲載などにより、認知度を高めるよう活動している。
アレルギーを専門とする管理栄養士の育成:食物アレルギーは、食物によって引き起こされる免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される疾患である。乳児期に多くみられるが、成人でも増加傾向であり、特に重度の食物アレルギーでは除去しなければならない食物が多く、不足する栄養を如何に代替食品で補うかなど、管理栄養士による細やかな指導が不可欠である。しかし、アレルギーを専門とする医師、看護師、管理栄養士が北海道内でも絶対的に不足している。道内の大学や中核病院のアレルギー専門医と連携し、管理栄養士を含めたチームで患者のケアができるよう活動している。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

前述のPID新生児マススクリーニングでは、T, B細胞が欠損したPIDしか検出できないため、それ以外のPIDをろ紙血での蛋白発現や酵素活性によって如何に検出するかが課題です。PIDはまた、単一分子の機能の変化による影響をヒトのレベルで確認することができるため、創薬にもつながります。実際にSTAT分子を標的とした創薬の共同研究を行なっています。上記の遺伝性葉酸吸収不全症では、葉酸吸収に必須の分子が欠損しているため、永続的に毎週葉酸点滴をして行かなければならず、QOLが大きく低下します。葉酸のdrug deliveryに関する研究が進むことが期待されます。食物アレルギーについては、全道の医師、看護師、管理栄養士などがチームとして取り組んでいく必要があり、体制づくりが重要です。