山本 集士

獣医学類

山本 集士 やまもと しゅうし

助教

研究室番号
動物医療センター 214

教員・研究室

取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 伴侶動物外科学
教育・研究への取り組み 私は犬猫の周術期の栄養代謝を研究しています。外科は手術中だけでなく、術前・術後も含めて思考することが大切です。その中で、いかに周術期の栄養学的な治療によって健康な状態に戻せるかを目指しています。また、腹腔鏡・胸腔鏡外科にも力を入れて、大学での治療の幅を広げていきたいと考えています。
受験生へのメッセージ 獣医学というと何をイメージしますか?病気を治すだけではありません。病気の原因から仕組み、検査、治療など多岐にわたって学びます。そこから、新しい病気の発見やお薬の開発を研究して未来に繋げていく大切な学問です。我々と共に日々、目の前にいる動物達を治療して助けるのはもちろん、未来の命も助けてみませんか?

研究シーズ

研究キーワード 獣医学 動物栄養学 血液透析
周術期における犬猫の代謝変動および栄養学的アプローチ
研究の概要・特徴

・人および獣医療では慢性腎臓病や肝硬変時には、栄養療法として食事性蛋白質を制限することが行われている。しかし、有効性の報告ばかり先行してきたが、近年では食事性蛋白質の制限により筋蛋白異化が亢進し、筋肉の消耗やアミノ酸代謝異常が引き起こされることも分かってきており、蛋白質の制限や基準について未だ議論の最中です。そのため、低蛋白食による体蛋白異化亢進を尿排泄される蛋白代謝産物を指標として評価し、個々の状態にあった異化を抑制できるような蛋白質要求量を見出せないか検討中です。さらに、これを応用して最終的にはテーラーメイドの栄養学的アプローチにつなげていく予定です。

・人の血液透析に用いるダイアライザの性能評価のために、人への外挿性が高いブタ透析モデルを確立しました。人と同等の条件で透析を行い、それによってこれまでin vitroでしか行われてこなかったダイアライザの評価や、臨床治験でのみ行っていた安全性を確かめることが可能になりました。現在は、この評価モデルを用いてダイアライザの新たな機能評価や血液透析自体による副作用を抑えられるか検討中です。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

周術期の犬猫の代謝、栄養動態を調べており、特に筋肉減少、蛋白異化というところに着目しています。これらを調査して改善できるような栄養学的アプローチ(食事やサプリメント)を開発していくことで、救命率上昇や入院日数の短縮、創傷治癒促進などの治療成績の向上につなげていけると考えています。さらに、蛋白異化を抑えることは免疫低下の予防や新たな疾患予防にもつながることから、犬猫だけでなく人の治療にも役立てられると考えており、特に老齢性に発現してくるサルコペニアの予防につなげられるようなサプリメントを開発中です。
その他、これまで中型の実験動物(ブタ)を用いた血液透析の研究に携わっていたため、そういった実験モデルを用いて薬物試験や安全性試験に応用することが可能です。現在、人の臨床治験が実施しにくい状況であり、猿や犬猫の実験動物としての利用も非常に難しくなっていることから、今後、そういった中動物の実験モデルは人への外挿性が高い研究の一助となると考えられます。