
獣医学類
酒谷 篤 さかたに あつし
講師
- 研究室番号
- 動物医療センター 3F教員室
教員・研究室
研究室・ユニット名 | 伴侶動物内科学 |
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研究テーマ | 伴侶動物の内科疾患および腫瘍疾患の病態解明と新規診断法・治療法の開発 |
教育・研究への取り組み | |
受験生へのメッセージ |
研究シーズ
研究キーワード | レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 心臓病 腎臓病 |
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イヌでのアルドステロン・ブレイクスルーに関する研究
研究の概要・特徴
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の活性化は、心臓病および腎臓病の初期段階では有効な代償機構であり、血行動態を改善する方向に働きます。しかし、慢性的なRAASの活性化は、心臓・腎臓・血管系のリモデリングを惹起し、疾患の進行に関与します。そのため、これらの疾患に対する内科療法としてアンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を使用したRAAS抑制療法があり、その有益性は医学領域だけでなく獣医学領域でも多く報告されています。しかし、こうした薬剤を使用したRAAS抑制療法の初期には、血中または尿中アルドステロン濃度は抑制されるが、長期投与ではアルドステロンはその抑制から逃れ、そして上昇してくる、いわゆるアルドステロン・ブレイクスルーがヒトだけでなくイヌでも報告されています。RAASの最終産物であるアルドステロンのミネラルコルチコイド受容体を介した組織のリモデリングが生じ、臓器障害が引き起こされます。そのため、アルドステロン・ブレイクスルーによる有害反応を防止するためのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の重要性が認知されるようになりました。
アルドステロン・ブレイクスルーという現象は知られるようになりましたが、世界レベルで見ても、獣医学領域ではあまり研究が進んでいない分野です。この現象のメカニズムを解明し、そしてミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の臓器保護薬としての有益性を明らかにすることを目的としています。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
アルドステロン・ブレイクスルーの詳細な機序は明らかになっていません。しかし、予後に大きく影響する現象であることは間違いありません。本研究から得られた知見は、ヒトでの病態解明および治療法の開発に役立つ可能性があり、医学・医療の発展に貢献することが期待されます。