教員・研究室
| 取得学位 | Ph. D. |
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| 研究室・ユニット名 | 動物と人の関係学 |
| 研究テーマ | 地球環境で考える、ヒト・動物・環境の健康:ワンヘルスに向けた環境衛生学 |
| 学びのキーワード | 人と動物の健康地球環境ワンヘルスバイオエアロゾル公衆衛生 |
| 教育・研究への取り組み | より健康な社会のために衛生と環境を併せて考えていくことで、病気にならない、なりにくい環境を構築するために研究、そして教育活動を展開しています。具体的には、感染症に向きあえる社会を目指して、未解明な要素が多く存在する空気を介した感染症について、どの様な要素、仕組みが強く関係しているのか、実験室と国内外のフィールド測定を通して実験・調査研究を進めています。 |
| 受験生へのメッセージ | 今では当たり前のように、蛇口を開けば清潔な水が出てきて、安全な食品が流通している社会、100年前は想像もつかないことでした。今日、世界は新たな感染症、災害の対策が必要となってきています。獣医療の職域でもある公衆衛生の維持、向上には、新たな視点、取り組みが必要です。是非皆さんも健康で快適な社会づくりに参加してみてください。 |
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研究シーズ
| 研究キーワード | バイオエアロゾル 感染症対策 環境衛生 |
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バイオエアロゾルの健康への影響評価、エアロゾル感染のメカニズム把握、畜産・農業分野での応用による感染症対策など
研究の概要・特徴
本研究室では微生物や生物由来の成分を含むエアロゾル、バイオエアロゾルを主軸とした研究を実験室と、屋外測定にて進めています。身近な例として、感染を引き起こしてしまう細菌、ウイルスなどのバイオエアロゾルの挙動やそれらが活性を保持するメカニズムの把握に資する研究です。バイオエアロゾルと混在する様々な物質が、空気中の媒介物としてどの様にエアロゾル化した微生物の活性に影響を及ぼすかについて実験室の安全が保てる空間で実験を進めています。この実験には以下の異なる擬似大気チャンバーを活用して、特定の空間環境におけるバイオエアロゾルの活性(生存率)の比較が主な目的です。微生物の生存に寄与する環境因子がわかれば、それを排除する、又は避けることで感染症対策に貢献できるという考えです。
また、ヒトや動物にとって有益なバイオエアロゾルが長時間放出されるかといった、バイオエアロゾルの有効活用に向けた研究も実験室レベルで進めています。
屋外における調査として全国5拠点での季節ごとの屋外大気エアロゾルサンプリングを推進し、バイオエアロゾルと混在物質の測定、調査を進めています。日本国内では結核の患者を追い抜き増加傾向にある、非結核性抗酸菌症の原因菌には地域差があることに着目し、その因子を特定すべく他機関と共同で研究を進めています。
さらに学内の異なる家畜飼育施設にて、オゾンガスや次亜塩素酸水などを活用した家畜の衛生管理に寄与するための消毒方法の実証試験なども進めています。また、現在多くのペットが室内で飼育されていることに鑑みた室内環境、居住者への健康影響についての調査を住宅にて実施しています。
これらの研究への取り組みはヒト、動物、環境の健康を統合的に考えて推進していくワンヘルスのアプローチが大きな骨組みになっています。バイオエアロゾルを中心に、より良い感染症対策を推進し、ヒトや動物の居住空間の衛生状態を向上させ、より健康的な環境の整備に向けた情報提供が大きな目的です。畜産、農業活動においては、空気を媒介する疾病問題の改善から、食料生産の安定化、食料の質向上に貢献できる研究を目指しています。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
バイオエアロゾルの衛生管理についての検証を室内環境、病院環境、牛舎、鶏舎、豚舎などの畜舎空間、犬や猫などのペット飼育空間など様々な場所で測定が可能です。また、特定の微生物の大気中での生存率を把握するための実験は模擬大気チャンバーなどにて行うことが可能です。さらに、異なる浮遊媒介物とエアロゾル化した微生物の混在による空間中での活性保持の比較検証が行えるため、畜舎内での消毒効果の検証が容易に行えます。実験室にはバイオハザードレベル2に対応した実験スペース、安全キャビネット、オートクレーブなどを保有しており、病原性を持つ微生物の取り扱いも可能です。
異なるエアロゾル測定装置やサンプラーを保有しており、エアロゾル全般と併せて、バイオエアロゾルに特化した測定・捕集を行うことが可能です。異なる環境下でのバイオエアロゾルサンプリグから実験室での挙動把握試験まで、大気中のバイオエアロゾルの挙動の把握を進められる体制が整っていることは当研究室の強みです。