林  怜史

循環農学類

林  怜史 はやし さとし

准教授

研究室番号
C6-304

教員・研究室

取得学位 博士(農学)
研究室・ユニット名 栽培学
研究テーマ 「栽培管理に対する作物の反応を知ることで、持続可能な栽培技術を作る」
学びのキーワード 畑作物露地野菜多収栽培省力栽培持続可能な農業
教育・研究への取り組み 栽培学研究室では、作物の持っているポテンシャルを引き出し、多収と高品質を両立できる栽培技術を明らかにしたいと考えています。また、昨今では農業の担い手不足や肥料の枯渇が懸念されており、より省力的な栽培方法、化学肥料に依存しない施肥法などについても研究を進めていきます。
受験生へのメッセージ 栽培学の目的は、
・作物と土壌や気象などの環境条件との関係を明らかにすること
・その関係に人間がどのように働きかければより良い農作物をたくさん収穫できるかを明らかにすること
です。農業が身近にあった人もそうでない人も、幅広い物の見方をしながら興味のあるところを深堀りすることができる面白い研究分野です。

研究シーズ

研究キーワード 多収栽培 省力栽培(繁忙期の作業分散) 低投入持続的栽培
イネ、バレイショ、トウモロコシ、タマネギなどを対象にした作物栽培学的研究
研究の概要・特徴

 近年、高齢な農業従事者の離農などによって、地域の担い手への農地の集約が進んでいます。このような担い手の大規模化によって課題となるのが栽培管理の省力化や作業ピークの分散です。特に冬期間の積雪がある北海道においてはその傾向が顕著で、播種や定植が4、5月、収穫が9、10月に集中する傾向があります。省力化対策として着目されているのが、これまで育苗や定植を行っていた作目を直播栽培へと変えることです。私はこれまで、主に移植栽培が行われている水稲やタマネギを対象に、直播栽培の研究を行ってきました。また、通常春に播種を行う水稲の直播栽培において、前年の初冬に播種を行い、翌年の春に出芽した苗を栽培する初冬播種栽培は、新たな作業分散技術として着目されており、東北地域や北陸地域ではすでに普及が進んでいますが、北海道ではまだ越冬後の出芽率が低いという課題を抱えています。現在は、北海道の水稲初冬播種技術において越冬率を高める栽培技術について研究を進めています。
 また、肥料など資材価格の高騰も農業における大きな課題となっています。現在、多くの作物は試験研究機関などが定めた施肥基準に基づいて施肥量が決められていますが、施肥基準が定められた当時の品種と現在の品種では必要な施肥量が異なることもあり、現在の品種ではより少ない肥料でも同程度の収量が得られる場合もあります。その他に、これまでは化学肥料主体で栽培されていた作物を、堆肥などを活用して化学肥料の割合を少なくして栽培することも、物質循環の観点からも重要です。このような課題についても、バレイショや飼料米用水稲品種を対象に研究を進めています。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 農業従事者が減少してくると、食料の安定供給が困難になり、フードセキュリティの観点からも懸念があります。栽培学分野で取り組んでいる省力化栽培や作業分散を可能にする栽培方法は、これらの問題を解決するための取り組みの1つです。一方で、省力化や作業分散によって、農産物の品質が下がってしまうようでは、これらの栽培技術は受け入れられません。省力化・作業分散とこれまでのような(あるいはこれまでを上回る)収量・品質を両立することを目指して研究に取り組んでいます。