天野 朋子

循環農学類

天野 朋子 あまの ともこ

教授

研究室番号
C2-204

教員・研究室

取得学位 農学博士
研究室・ユニット名 家畜遺伝学
研究テーマ 遺伝情報を活用し、より能力の高い家畜を作出する
学びのキーワード 乳牛肉牛中小家畜動物(馬など)品種改良バイオ
教育・研究への取り組み ・家畜・家禽に特徴的な性質と遺伝との関連を研究し、その成果を農畜産業に活かすことを目指します。
・ウシとともに、ウマやニワトリなど多様な家畜・家禽・伴侶動物を対象とします。
受験生へのメッセージ 家畜はヒトと暮らす中でユニークな遺伝的性質を持つようになりました。それは乳・肉・卵の生産に関するものだけでなく、ヒトによく馴れ、共に暮らすことを可能にする穏やかな性質など多岐に渡ります。この研究室では北海道の恵まれた環境で家畜達に触れ、その魅力の源である「遺伝子」について研究します。
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研究シーズ

研究キーワード 動物遺伝学 産業動物(ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリなど) 飼育者の負担軽減・気候変動下での食糧生産
産業動物の有用な形質と関連する遺伝子を探索する
研究の概要・特徴

動物には様々な特徴(形質)があり、特に家畜や伴侶動物など身近な動物には人との関係において重要な形質があります。このような形質は、端的に生産(乳や肉)に関わるもの以外にも、毛色などの目を引く身体的特徴、馴れやすさや訓練しやすさなど多岐にわたります。生産に関わる遺伝的形質に関わる遺伝子の探索は、これらの遺伝子を指標とした正確性高い育種に有用であり、産業上の利用が見込まれるほか、その他諸形質においても、関係する遺伝子の探索から人との関係において有益な情報が得られます。

近年手掛けたテーマ

① 出産時刻を制御するメカニズムと関連する遺伝子の探索
家畜は一般にお産が重く、とりわけ乳牛は難産の傾向があります。そのため出産時は人の見守り・介助が必要です。本研究ではお産が起こるタイミングのメカニズムを探り、関係する遺伝子の探索とその活用により昼間に出産を集中させる試みを行います。これまでに睡眠リズムなど体内の日内変動を司る時計遺伝子と出産時刻との関連が示唆され、その制御にて出産時刻の変更が可能ではないかと考えられます。時計遺伝子はライトコントロールや食事のタイミングにてその働きのリズムが制御できることが知られ、出産の時刻の制御も行える可能性があります。

② 北海道和種馬の遺伝的有用性の探索と保全
動物、植物ともに、在来品種は暑さや寒さといった厳しい環境に強く、さらにその土地のユニークな気候風土に適応した遺伝形質を持っています。近年では地球環境の変動から、現行の食資源動物/栽培種の飼育/栽培が困難になる可能性が指摘され、その代替として厳しい環境にも耐える在来家畜や在来栽培種を活用する方策が提案されています。一方、在来品種は生産性の高い西洋品種の人気に押され、数が大きく減っています。
北海道和種馬は北海道の在来品種であり、厳しい気候の下での放牧主体の飼育によく適応し、未来の遺伝資源としての価値が見込まれています。私達の研究室では、北海道和種馬のDNAにどのような遺伝情報が載っているかを調べ、遺伝資源としての価値を明確にしようとしています。私達は最近、北海道和種馬に固有のDNA領域にナチュラルキラー細胞といった自然免疫(病気の罹りにくさ)と関係する遺伝子が含まれていることを突き止め、本品種の遺伝資源としての価値の一端を証明しました。

放牧中の北海道和種馬(北海道和種馬保存協会より提供) 放牧中の北海道和種馬(北海道和種馬保存協会より提供)
矢印は北海道和種馬に固定したDNA領域。X軸はDNA全領域、Y軸は集団内の固定度 矢印は北海道和種馬に固定したDNA領域。X軸はDNA全領域、Y軸は集団内の固定度
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

① ライトコンロールや食事の時間の変更により、家畜の出産時刻の変更/集中を可能にする。これにより家畜の出産の見守り業務の負担を軽減できる。

② 気候変動に強く放牧向きの在来家畜の遺伝的価値を科学的に証明し、その保全活動を振興させる。