寺岡 宏樹

獣医学類

寺岡 宏樹 てらおか ひろき

教授 獣医学類長

研究室番号
B3-201

教員・研究室

取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 獣医薬理学
研究テーマ 薬と有害物質の生体作用に関する研究
学びのキーワード 毒物代謝環境ゼブラフィッシュ
教育・研究への取り組み 新薬開発には莫大な費用と労力が必要です。培養細胞は動物生体と影響が異なることが多々あるため、補完する方法として下等動物が注目されています。小型熱帯魚であるゼブラフィッシュはその代表格です。代謝酵素の違いが動物種差の主な原因なので、哺乳動物の代謝酵素を発現させたトランスジェニック・フィッシュを作成しています。このほか、日本では北海道でだけ繁殖するタンチョウの研究でも成果を上げています。
受験生へのメッセージ COVID-19の影響で創薬の重要性がクローズアップされています。獣医師はこれまで製薬会社など人体用医薬品の創薬でも大きな役割を果たしてきました。現状では多くの人体用医薬品が動物にも使用されているのですが、今後は動物特異的な疾病を直すための薬をたくさん、獣医師の主導で作ってほしいと願っています。

研究シーズ

研究キーワード ゼブラフィッシュ 化合物代謝 タンチョウ
薬と有害物質の生体作用に関する研究
研究の概要・特徴

・実験動物代替法の開発:動物福祉やコストの観点から、これまでのように齧歯類等の哺乳動物をふんだんに使用した試験研究は継続不能です。一方、培養細胞や齧歯類(生体)を中心とした動物実験で選別された多くの新薬候補は臨床試験中途で失敗に終わっています。そのため、下等動物が注目されています。私たちはゼブラフィッシュ(Danio rerio)という熱帯魚の胚稚魚を使って、新しい齧歯類実験のプレスクリーニング法を開発しています。特にEUではゼブラフィッシュの初期胚稚魚は動物実験とは考えられていないのが強みです。
・環境毒性:ゼブラフィッシュ胚稚魚を用いて、環境毒性物質の影響やメカニズムを研究しています。
・催奇形性研究:ゼブラフィッシュ胚稚魚を用いて、催奇形性物質の発現機構を研究しています。
・タンチョウの研究:北海道に生息するタンチョウは明治末期に絶滅しかかったことから非常に遺伝的多様性に乏しい危険な状態にあります。昭和初期から始まった人口給餌のおかげで個体数が増えましたが、湿地の減少から生息地を探し求めている状態が続いています。私たちはタンチョウの遺伝的背景の変化、作物被害から、環境汚染物質の暴露状態まで調べています。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

・ゼブラフィッシュ胚稚魚を用いて化学物質の生体毒性の有無を調べることができます。
・ノックアウトフィッシュ、トランスジェニックフィッシュを作ることができます。
・羽、糞、血液サンプルから、タンチョウを含む鳥の性別、遺伝的背景を調べることができます。
・次世代シークエンスを用いて、糞や胃内容物、腸管内容物に含まれている動物や植物を網羅的に調べることができます。