及川  伸

獣医学類

及川  伸 おいかわ しん

教授

研究室番号
B1-105

教員・研究室

取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 ハードヘルス学
研究テーマ 乳牛群の健康管理と生産性向上に関する研究
学びのキーワード 栄養代謝飼養技術疫病予防
教育・研究への取り組み 私達は農場で飼われている生産動物(牛、豚、鶏等)から多くの恩恵を受けています。その飼育環境は全て人間の責任において管理されています。動物集団を健康的に飼養管理する学問がハード(群)ヘルス(健康)学です。農場規模が大きくなる現代において、如何にストレスを低減するかが大きな課題であり、研究課題となっています。
受験生へのメッセージ 本研究室は獣医学類との間で連携して運営されています。生産動物の病気の大半は飼養環境のコントロールで防げます。『予防に勝る治療なし』です。皆さん、私達の生活に必要不可欠な生産動物の健康に目を向けてみませんか!獣医師以外にも多くの畜産関係者が貢献している分野です。
研究室探訪

研究シーズ

研究キーワード 乳牛 ハードヘルス 疾病予防
乳牛群の健康管理医療に関する研究
研究の概要・特徴

酪農場において乳牛の疾病は生産性の減少に直結しており、いかに乳牛を健康に管理するかが健全な経営の柱となる。近年、酪農場における頭数の増加に伴い乳牛は個体管理から集団(群)での管理に切り替わってきている。また、農場規模の拡大とともに機械化も進展し、乳牛の飼養環境は複雑になって来ている。それに呼応するように疾病発生における環境からのリスク因子も増加していることから、単因子疾病から多因子疾病へと様相を変えている。したがって、疾病の予防あるいはコントロールを実践するにあたっては、乳牛群の飼養環境を網羅的に分析し、体系的に対応することが要求される。特に乳牛の生理的な特性から、疾病は分娩前後の移行期と呼ばれる時期において最も発生リスクが高くなることが知られている。
以上のような背景から、乳牛群の飼養環境のリスク要因と疾病の発生との関連性を明らかにし、実際の酪農場における疾病予防と生産性の向上を図ることを目的に研究を進めている。具体的には乳牛が生活する上での大切な5つの環境である「居住環境」、「採食環境(飼料分析を含む)」、「搾乳環境」、「歩行環境」、「人的環境」について焦点を当て、そこからのリスク要因分析と疾病発生との関係を研究している。また、疾病発生予察としての生体情報利用として血液中の代謝産物の解析とその臨床応用に関しても実施している。さらには、生産性向上に向けた予防対策の経済的正当性に関しても評価しながら現場応用を検討している。いずれにしても酪農場の生産性の向上には疾病が発生してからの治療では遅く、先手を打って予防することが重要であり、そのために現場では何をすればいいかに関して、具体的な指針につなげるような研究を心がけている。

過密飼養が疾病発生のリスクとなっている 過密飼養が疾病発生のリスクとなっている
飼料と採食環境は極めて重要 飼料と採食環境は極めて重要
環境は健康を左右する 環境は健康を左右する
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

近年、酪農場での飼養頭数は増加しており、集団での健康管理の徹底が生産性向上の鍵です。機械化の進展も相まって、複雑化する酪農場において疾病発生を予防するあるいは削減する獣医療の重要性が高まっています。また、畜産関連の関係者がチームで酪農場の健全化を図っていく必要があります。乳牛の健康管理医療(ハードヘルス)に関する研究は現場に直結し有効に活用できうる成果を導き出しています。酪産業界においてもこの分野は非常に重要です!